仏教の五戒の一つに飲酒が含まれます。お坊さんでない限りは絶対禁酒というわけではありませんが、飲酒すると徳を遠ざけるということで、一般的には飲んだとしても飲みすぎは避けるべしと考えられているようです。
”酒は飲まない”アピール
スリランカ人と知り合って話をすると、ドライバーなどの職業の人から「機会があれば雇ってほしい」という申し出を受けることがあります。
そんな話のときによく聞くのが「俺は酒は飲まない!」という一言。最初は何のことだかわかりませんでしたが、酒も飲まない真っ当な人間なんだ!というスリランカ流のアピールのようです。
スリランカのビール
スリランカのビールといえばライオンビール。アルコール度数4.8%ですが、南国のビールにしてはコクがあって重めの味わい。
現在のスリランカにライオンはいませんが、スリランカの国旗やシーギリヤのライオンゲートなど、ライオンはいろんなところにモチーフとして使われます。
セイロン(スリランカ)の最初の王朝の王が人間と百獣の王であるライオン(シンハ)との間に生まれた子の子孫(シンハラ)だという言い伝えによるものです。
ライオンビールはライオンブリュワリー (Lion Brewery) によって生産されますが、現在はデンマークが本社のカールスバーグが25%の株を保有しており、カールスバーグビールも同工場で生産されています。
スリランカのウィスキー
スリランカではビール以外にハードリカーも生産されます。
それがアラック (Arrack) 。もともとアラックは中近東で作られてきた酒の種類で、ナツメヤシやブドウなどの糖度の高い果実を原料とする蒸留酒。スリランカではヤシの果穂から採った樹液を発酵させてから蒸留して作ります。
酒屋に行ってみると分かりますが、アラックには無色透明のものと琥珀色のものがあります。琥珀色のものはウィスキーと同じく樽に入れて熟成したものです。
財布にやさしいアラック
銘柄を比較できるほど詳しくはありませんが、あるスリランカ人が教えてくれた『Double Distilled』(通称D.D.)という銘柄をよく飲みます。琥珀色のアラックです。
椰子(ココナッツ)が原料なだけに口をつけた瞬間の口あたりが甘いのですが、香りや味はかなりウィスキーに近いものがあります。
輸入物のウィスキーが1万ルピー近くのものが多い中、アラックは1,500-2,000ルピー (1,000-1,400円) ほどで買えるので、ウイスキーへの特別なこだわりがなければコストパフォーマンスは高いです。