「スリランカ産の食材を探し求め、日本料理として美味しく提供します。安全な食材は味もいいことを知ってもらいたい。」
と語るのは、コロンボにオープンした日本料理店『京都みらい』の料理長『長 浩也(なが ひろや)』 さん
スリランカからの突然の誘い
長さんが京都の割烹料理店で腕を磨いていたある時、突然師匠に呼ばれました。
「スリランカに行っておいで。」
師匠について15年が過ぎ、何か新しい事にチャレンジしたいと考え始めていた36歳の時でした。
「行きます!」
と即答していました。
後に聞くと、師匠は親しくしている経営者(京都みらいのオーナー)からスリランカ出店を相談されたそうで、聞いてはみたものの長さんは断るものだと思っていたそうです。
スリランカの印象
実は、スリランカ行きを快諾した時、スリランカがどこに存在するかも知りませんでした。
しかし、実際にコロンボに視察に来てみると、食に関して自分が今まで目指してきたものとあまりに大きなギャップがあることに愕然としました。
要因としてわかったのは、そもそもマーケットで売られている食材のクオリティーが低いのです。
もともと食材探しは料理人の基本と考えており、そこにやりがいを感じて、「絶対にここでチャレンジする!」と気持ちを固めました。
開店プランが白紙に
ところが、出店を計画した物件の賃借交渉が行き詰まってしまいます。
オーナーはなかなか思い通りに進まないスリランカでの出店準備に疲れて、一旦すべての計画を白紙に戻すことも考えていました。
その場合は、長さんに対してはスリランカの代りに日本で新規開店するレストランの料理長のポジションをオファーするということでした。
ところが一旦スリランカモードに入ってしまった長さんのスイッチはなかなか切り替わりません。
「なんとかスリランカで出店できないものか。」
長さんは日本での料理長のオファーを断り、スリランカでの事業継続をオーナーに訴え続けました。
そしてオーナーはついに長さんの熱意に根負けして、コロンボ市内の新たな場所で出店計画を進めることにしたのです。
魚は生きたまま店まで運ぶ
日本料理には欠かせない魚。スリランカは四方を海に囲まれて水産資源は豊富です。
ところが、ネゴンボなどのマーケットに行くと、そこに並ぶ魚は決して新鮮には見えません。
それには漁場から港までの輸送状態に原因がありました。
実際に漁船に乗せてもらうと、釣った魚は甲板に放置され、港につく頃にはすべて死んでいるのです。これでは味も落ちてしまいます。
カレーにするならこれでもいいのかもしれませんが、目指す日本料理には使えません。
魚が生きたまま店まで運ぶことを条件に業者を探し回ったところ、苦労してようやく見つけることができました。
肉も安全なものを
肉については、スリランカでは飼育中に成長剤が投与されていることが珍しくありません。人体への影響を考えて、日本ではすでに使用されなくなった薬剤です。
またチキンを丸ごと買うと、量り売りの重量を増すために胃袋に水が注入されていることもあるのです。
解決方法を探した結果、有機飼育をおこなう農家を探しあてて供給してもらえることになりました。
野菜ももちろん有機栽培
そして料理に欠かせない野菜も、特にサラダなど生で提供するものは、有機栽培にこだわっています。
実際に食べ比べると肥料たっぷりで育てた野菜よりも有機栽培の野菜の方が、明らかに食感も香りも良くて美味しいのです。
参考記事: スリランカで有機野菜栽培と指圧サロンを手掛けるNPOの代表に聞く
長さんの目指すもの
スリランカでの長さんのチャレンジは始まったばかりです。
「まずは、京都みらいの経営を軌道に乗せるのが目標です。その方法として”食材にこだわり、いい食材を探す努力を続けていきたい”と考えています。」
美味しくて、そして身体にも優しいこだわりの京料理を是非お楽しみください!
★シンハラ正月中も休まず営業しています。
(月曜の定休日を除く)
京都みらい (KYOTO MIRAI)
Hotel Dwell の2階
No 213, 215 and 217 Galle Road, Colombo 03
TEL: 011-244-1330
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