スリランカ現地法人の作り方

スリランカで事業を開始するにあたって避けては通れない
会社設立の仕方について説明します。

スリランカで会社を設立そして運営していくためには
『カンパニーセクレタリ』という立場の人が必要です。

会社の設立に伴う資料の作成や役所への届け出をしてくれます。

また会社設立後は取締役会に出席して
オフィシャルな議事録を残すのもカンパニーセクレタリの役目です。

まずは『カンパニーセクレタリ』を探すことから始めます。

一般的には弁護士や会計士がこれを兼ねる場合が多いようです。
コネが何もない場合はまず弁護士事務所に相談するのがいいと思います。

 

1. 会社名を決める

カンパニーセクレタリが見つかったら
まず最初にすることは会社名を決めることです。

日本と同じく同業で同じ名前が既に登録されていたりすると
却下されますので、カンパニーセクレタリに依頼して
会社名の調査をしてもらいます。

 

2. 定款(Articles of Association)を作る

カンパニーセクレタリと協力して定款を作ります。

基本的にはカンパニーセクレタリーがやってくれますが、
会社の業務内容 (Company Objectives) は要注意。
この書き方によっては却下されてしまう場合があります。

例えば、スリランカでは建物の5階以上しか外国人が保有できませんが
会社の業務として外国人への不動産の販売をおこなう場合は
”建物の5階以上を外国人に販売する業務”というように
規制を踏まえた書き方をしないと、
関係省庁から物言いがついて書き直しを命じられてしまう場合があります。

 

3. 会社設立の申請書を記入する

これもカンパニーセクレタリが記入してくれます。

必要な書類は、Form1 “REGISTRATION OF A COMPANY”

出来上がった書類に取締役(Director)がサインします。

あとは取締役のID(パスポート)のコピーが必要です。

これらの書類と定款をカンパニーセクレタリが
政府機関の Register of Companies Sri Lanka に提出して
あとは認可を待ちます。

 

4. 会社設立の証明書

incorporate_certificateめでたく会社が登記できると右のような書類が手に入ります。

会社設立証明『CERTIFICATE OF INCORPORATION』

これは額に入れてオフィスに飾ってあるのをよく見かけます。

書類の上の方に書いてあるのが会社の登録番号です。

またこの時点でカンパニーシールという会社名や登録番号が
はいったスタンプや、エンボスシールという同じ内容の
エンボスマークを転写するものを作ります。
これもカンパニーセクレタリがやってくれます。

カンパニーシールは日本の社印のようなもので、
オフィシャルな書類ではこのカンパニーシールを
押したところにサインするというのがルールになっています。

 

5. 銀行口座を作る

会社名義の銀行口座を作ります。

銀行に行って必要な書類をもらってくれば、
これもカンパニーセクレタリが記入してくれます。

書類には取締役に加えてカンパニーセクレタリもサインするのが通常です。

今後のことを考えて
普通預金口座(Saving Account)と当座預金口座(Current Account)の
両方を作っておくのが良いでしょう。

 

6. 資本金を振り込む

Form1に記入した株数に応じて
取締役それぞれが会社の銀行口座に資本金を振り込みます。

取締役が日本人(外国人)の場合は
個人名義のSIA口座から会社の口座に振り込みます。

振り込みが終わったら振り込みが確認できる明細を
カンパニーセクレタリに提出します。

それをもとにカンパニーセクレタリが
「資本金の振り込みが確認できた」という内容の
取締役会議事録を作成し各取締役がサインします。

 

7. 株式保有証明書 (Share Certificate) を発行する

ShareCertificate発行する証明書がこれ。

A4サイズにカンパニーロゴや取締役ごとの持ち株数を記載。(ここまではコーポレートセクレタリがやってくれます。)
そこに取締役とコーポレートセクレタリがサインします。

取締役が複数の場合にはそれぞれが他の取締役の証明書にサインします。

最後に会社のエンボスシールで印を入れて完成。

出来上がった株式保有証明書のコピーを Certificate of Corporationsに
提出すると株の保有者がオフィシャルに登録されます。

同様に株式保有証明書のコピーは
会社の銀行口座を作成した銀行にも提出する必要があります。

ちなみにこの証明書は有価証券の扱いで、たとえば銀行に持ち込んでこれを担保に融資を受けることも可能です。

 

8. 納税者証明書(TIC)を取得する

いよいよ終わりが見えてきました。

税務署に納税者登録をして
納税者証明書 (Taxpayer Identification Certificate) を取得します。

これも手続き自体はカンパニーセクレタリがやってくれます。

この証明書の中にはTINナンバーという番号が記載されており
これが納税の管理番号となります。

居住ビザの取得にあたってTINナンバーが要求される場合があるので
忘れずに手続するようにしてください。

これにてめでたく終了!!