トゥクトゥクが停車したと思うと、ドライバーがおもむろに車道の方に顔を突き出し「ペッ!」と大量の唾を吐く。
その吐き出されたつばが真っ赤で、「血を吐いてるのか~」とビビってしまう旅行者も少なくないと思います。
赤いつばの正体は?
この赤いつばの原因は、アジア版『噛みタバコ』です。
インド、タイ、スリランカなどのアジアでは、ビンロウというヤシ科の植物の種子『ビンロウジ』を刻んだものを少量の『石灰』と混ぜて、コショウ科の『キンマ』の葉っぱで包んだものを噛む習慣があります。
この包んだものをスリランカでは『ブラット ウィタ (=Burath Vita)』と呼びます。
ブラット ウィタの効用
これをくちゃくちゃと噛むと唾液と混ざってあの赤い液体が口の中にたまります。飲み込むと胃を悪くするらしく、「ぺっ!」と吐き出すわけです。
ビンロウジには、ニコチンやモルヒネなどと似た成分であるアレコリンが含まれており(これらは総称してアルカロイドと呼ばれる)、興奮作用や食欲減衰作用があります。
石灰を混ぜるのはアルカロイドの抽出を高めるため。石灰は人体に無害で、運動場の線引きや食品の乾燥剤にも使われますが、直接口に入れるというのは抵抗を感じます。。。
病気との因果関係
スリランカでは糖尿病にかかる人が多いのですが口腔がんの罹患率も高く、死亡原因の上位となっています。
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その原因というのが、発がん性の指摘される『ビンロウジ』だと言われています。
安く (10ルピー程度) 手に入る嗜好品で、比較的に低所得者層の愛用者が多いようです。
タバコと同じで、危険性が高いとわかっていながらなかなかやめられない人も多いのでしょうね。
好奇心旺盛な旅行者の皆さんも、これだけはやめておいた方がいいかもしれません。